議席番号1番、日本共産党議員団の守岡等です。私はまず安心できる介護サービスのあり方について質問をさせていただきます。

 日本は世界に先駆けて超高齢化社会を迎えています。その日本の中でも上山市は65歳以上人口比率・高齢化率が35%を超え、特段の対応によって安心できる医療・介護を整備していく必要があります。こうした立場で介護サービスのあり方について考えてみたいと思います。

 高齢化が進む中、家族に介護問題が集中していた問題を解消し、介護の社会化を実現するために介護保険制度が導入され、17年目を迎えています。しかし、介護の社会化とは裏腹に、いまだに介護問題が市民の肩に重くのしかかっています。

 第1に、全国で毎年10万人以上が介護のために仕事をやめなければならないという問題です。その8割は女性であります。介護サービス供給体制が不十分なために、まだまだ家族にしわ寄せが及んでいる実態があります。それに対し、この間、国の方では連続3ヶ月の介護休業制度を義務づけ、給料の4割の介護休業給付を定めましたが、介護の社会化とは真逆のミスマッチした政策ではないでしょうか。やはりきちんとした施設サービス・在宅サービスの充実を図り、家族の負担を軽減していく必要があります。

 第2に、しかし、施設に入所しようと思っても施設が全く足りないという問題があります。在宅サービスを利用しようにも、介護従事者が不足しているという問題があります。特別養護老人ホームは本市において入所待機者が166人(うち在宅待機者が57人)もいて、そう簡単には入所できない状況が続いております。要介護1・2の方を特養入所対象から外したため待機者は減ったように感じますが、要介護1・2の入所希望者も235人もいて、あわせて400人以上の方々が特別養護老人ホームの入所を待ち望んでいます。第6期介護保険事業計画では1カ所の老人保健施設の整備が進められていますが、まだまだ足りない状況になっています。

 国の方では特別養護老人ホーム建設への国庫補助金を廃止し、利用料の高いサービス付き高齢者住宅の建設を促進しています。これではますます介護施設入所格差が広がってしまうのではないでしょうか。この間、私は独居老人の孤独死を立て続けに経験しました。すべて健康問題、介護問題を抱えている方たちで、医療・介護の力でなんとか救済できなかったかと悔やまれます。

 私はこうした状況の下、安心できる介護サービスを提供するために、市が積極的に関与していくべきだと考えます。そのために以前6月定例会で私が提案したカミンへの高齢者施設の設置の他に、空き家等を活用して介護保険サービス提供体制を充実させることを提案します。

 市内にはすでに県の助成金を受けながら空き家を利用し、高齢者の協同生活や健康教室など介護予防・生きがいづくりを進めている団体があります。こうした介護予防を実施する場所を中学区ごとに整備するというのが地域包括ケアシステムの課題の一つだと思います。こうした空き家を活用した場合、これまでは県の方から年間200万円の補助があり、こうした事業を支えてきましたが、今後市の事業に移管するということで、市の対応が求められています。

 また、認知症高齢者が増える中で、認知症予防・改善にあたっては、少人数対応のグループホームがすぐれた成果をあげていることが専門家から指摘されています。大人数の施設ではできない、個々の症状に応じたきめ細かいケアが、こうした小規模のグループホームでは可能となり、すぐれた成果をあげています。こうした空き家活用を通して介護サービス充実を図るために、本市としても積極的に支援していく必要があると考えますが、市長のご所見をお示しください。

 

 政府は2013年12月に「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」(プログラム法)を成立させた後、2014年6月には「医療・介護総合確保法」を成立させ、これまでの医療・介護を大きく改革する内容を打ち出しました。

 改定介護保険法ではまず、要支援1・2の訪問介護と通所介護を介護保険給付から外し、介護予防・日常生活支援総合事業(新総合事業)に移行されます。

 厚生労働省が示した新総合事業を実施する際の「ガイドライン」では、@低廉な単価のサービスの利用普及、A認定に至らない高齢者の増加、B自立の促進という三つのやり方で事業の効率化を図るよう自治体に指導しています。

 ガイドラインの一つ目の「低廉な単価サービスの利用普及」とは、ヘルパーなど介護職によるサービスを、非正規やボランティアなどの人件費の安い非専門職のサービスに置き換えるということです。

  新総合事業においては、訪問型もしくは通所型サービスA(緩和した基準によるサービス)とサービスB(住民主体による支援)というものが導入されます。

 まず、サービスA(緩和した基準によるサービス)ですが、これまでの有資格者という人員基準を緩和し、サービス提供者は一定の研修を受ければ無資格者でもいい、事業責任者も無資格者でいいというものです。また、サービスBは、無資格者のボランティアにより生活援助を行おうというものです。

 このような新総合事業の導入は、ホームヘルプ・デイサービス全体に混乱を与え、その専門性と社会的評価を低め、サービスの質を低下させる可能性があります。また、ヘルパーなど介護従事者が無資格者や住民ボランティアと同列に置かれることによって、ますます賃金・労働条件の低下につながる事態も予想されます。

 ガイドラインの二つ目の「認定に至らない高齢者の増加」とは、要介護認定を受けさせないということで、要介護認定を申請する際に、窓口で「明らかに要介護認定が必要な場合」以外は、「基本チェックリスト」を用いて新総合事業に誘導する仕組みが導入され、介護保険サービスを利用させない「水際作戦」を実施しようとするものです。この基本チェックリストとは25項目の文字通り基本的なもので、医師の意見書など専門的知見も要しないことから、担当職員の主観で左右される危険性もあります。

 そして、三つ目の「自立の促進」とは、新総合事業の適用となった方は、「かがめるようになる」「一人で買物に行けるようになる」などの目標・課題を持たされ、行政側から「目標達成」「状態改善」とみなされると、単価のさらに安いサービスへの転換やサービスの終了を行政から求められることとなります。

 すでに新総合事業に移行している市町村では、これまでデイサービスセンターで入浴していた95歳の男性が、老人センターの風呂に行くようケアマネジャーから指導されたという事例、デイケアを半年で卒業させられ、掃除ができない利用者のためにケアマネジャーがヘルパーを入れようとしたら、市から「ボランティアか民生委員で」と指導され、結局誰も支援に入らずゴミ屋敷になってしまったという事例などが報告されています。

 このままでは要支援1・2の方たちは現行サービス水準が引き下げられ、必要な介護サービス・予防サービスが受けられず、ますます重症化し、結局は介護保険財政の圧迫につながることが危惧されます。

 そうした事態を防ぐために、第一に、介護保険給付から市の事業である地域支援事業に移行した場合でも、五つのサービス累計における「現行相当サービス」を中心とし、これまでと同様のサービス水準を維持していくべきだと考えます。

 第二に、そのためには、事業所に支払う報酬についても、これまでと同様とし、事業の継続性を保障する単価にしていくべきです。

 第三に、要介護認定の申請権を保障するために、本人の意向を尊重することは当然として、市の窓口では基本チェックリストでの選別は行わず、基本チェックリストは地域包括支援センターの専門職が活用することを原則にすべきです。

 第四に、財政面では、新総合事業の「事業費上限設定」をしないよう国に求めるとともに、必要な国庫負担を要求していくことが必要です。

 以上四点について市長のご所見をお示しください。

 

 次に、地域の支え合いによるひきこもり対策の強化について質問させていただきます。

 ひきこもりの定義は諸説ありますが、ひきこもりの研究で著名な斎藤環(たまき)医師(筑波大学教授)によれば、@6ヶ月以上社会参加していない、A非精神病性の現象である、B外出していても対人関係がない、という三点をあげています。厚生労働省のガイドラインでは、ひきこもりの約80%は何らかの精神障がいの診断が可能だとしており、そうした面でのアプローチが重要だとされています。

 2010年に内閣府が発表した調査研究「若者の意識に関する調査(ひきこもりに関する実態調査)」では、当時、日本国内には約70万人のひきこもりがいるということです。

 上山市におけるひきこもり・長期不就労者の実数はわからないということですが、私のまわりを調べただけでも相当数のひきこもり者がいることが予想されます。ひきこもりになった理由は多種多様ですが、親の介護、自分の病気、リストラなど様々な理由で仕事を辞めざるを得なかったが再雇用・社会復帰が難しいといった問題、そしていじめ、担任の先生との関係、集団生活になじめないなどの理由で不登校になった子どもたちがそのまま成人し、ひきこもりになるといった事例が目立つようです。そして、社会復帰を望みながらも、具体的な方策を見いだせないまま、途方に暮れているのが実情です。私は、ひきこもりの方たちを、社会復帰に向け何らかの社会支援を必要としている人たちであるという認識に立って、行政としての支援を強化すべきだと考えます。

 私たち日本共産党議員団は、昨年11月にひきこもり対策ですぐれた実践を行っている秋田県藤里町を視察してきました。

 藤里町はひきこもりが18歳から55歳までの対象年齢人口の8.7%、実に人口4千人の町で100人以上のひきこもり者がいるという状態で、特に長期ひきこもりによる精神疾患の発症もみられることから社会福祉協議会を中心に対策を講じてきました。

 その中心施策の一つは、ひきこもり者の居場所づくりを進めるということです。ひきこもり者にはうつ病や発達障害など、障がいを抱えた方が多くいます。また長期間ひきこもることによって障がいを抱えるようになる方もいるようです。

 こうしたことから、ひきこもり者が気軽に集い、交流し合える居場所づくりを始めることにしました。ひきこもり者とはある意味、様々な矛盾・事象を感じやすい方たちであり、その結果、競争社会から疎外され、人間関係・社会関係が切断せざるを得なかった人たちであるわけですが、そういう人たちが集い、絆を復権・再生しようとするとりくみが必要だということで、居場所づくりを始めました。

  中心施策の2番目は、雇用を保障するということです。ひきこもり者が望んでいるのは、同情ではなく社会的な役割がほしいということです。働いて社会に貢献したいということです。藤里町ではこうした願いに応えるために、さきほどの居場所を就労支援施設に発展させ、ひきこもり者が集うだけでなく、就労に向けた準備を行い、実際にレストランを経営する中で雇用をはかる取り組みを進め、成果をあげています。

 ある方は「ここには自分の役割がある。だから居心地がいい。互いに支え合いながら、人は一人では生きていけないことにもようやく気づくことができた」と感想を述べています。

 県内では鶴岡市にひきこもりの若者の就労移行を支援しようと、精神保健福祉士の資格を持ったスタッフが利用者の自宅に出向くアウトリーチ(訪問支援)に取り組む事業所があります。現在13人が利用し、落ち着いたカフェのような雰囲気の事務所に集い、コミュニケーションや就職活動に関する講座など、自由に受講できるプログラムが用意されているそうです。

 上山市にも大きな不安を抱えながらひきこもりになっている方々がいらっしゃいます。うつ病など精神疾患、障がいをかかえながら生活している方や、年金生活者の親と同居している方で、親がいなくなった後の将来不安をかかえながら生活している方々がいます。私は、「健康でよくはたらき豊かなまち」「みんな互いにたすけあいしあわせのまち」という市民憲章の精神に則って、ひきこもり者の支援を進める必要があると考えます。

 そこで第一に、ひきこもり者が気軽に集い、交流できるセンターの設置に向けた活動に対し、市が積極的に支援していくことを提案します。いま、ひきこもり者はもちろんのこと、その家族も孤立している事例が見受けられます。行き場もなく、将来展望がないまま途方に暮れている人たちが、精神保健福祉士や臨床心理士などの専門職、および精神保健福祉ボランティアらの協力を得ながら様々な悩みを話し合い、交流を深めるとともに、ひきこもりを改善・克服した全国あるいは県内の事例を学び、様々な支援につなげていくことが必要です。

  具体的には、対人関係にある程度の自信を付けさせる集団適応支援や共同生活型自立支援、訪問支援活動、心理カウンセリングなど、様々な支援によって成果があがっています。これらの中から自分に合った支援とは何かを見つける手助けをする必要があるのではないでしょうか。

 いま、「まじゃれ」など高齢者のサロンが展開されていますが、ひきこもり者の居場所づくりの動きも芽生えています。

 第二に、そうした交流センターでの居場所づくりを行った後に、ひきこもり者の就労、自立支援に結びつく事業展開が求められます。

  そこでは就労に向けたトレーニングを行うとともに、実際の雇用をつくりだす事業所展開も考えられます。藤里町では地元産のそばを生かしたレストランを経営し、舞茸を利用した菓子作りにも取り組むなど、まちづくりと連動したとりくみも行われています。そして町全体でこの事業を支える気運に満ちあふれています。

 このような支援の輪を広げるためにも、市として事業に取り組もうとしている団体に対し、運営補助などを実施すべきと考えます。市長のご所見をお示しください。